論文を批判的に読み、生活へ翻訳できるようになるまでを5段階に分けた。 自分が今いる段階を選び、そこから順に進む。 各段階のページは一通り読むと20〜75分で完走できる。
論文は、嘘をつくときがある。
悪意ではなく、構造が偏らせる。ルーペを当てて、どこに偏りが残っているかを静かに眺めにいく。
論文は、答えではない。
判定の道具だ。
「論文に出ている」と聞くと、確定情報のように響く。けれど査読論文は「答え」ではなく「ある条件下のデータ」にすぎない。
このページは、ビジネスアスリートが「論文を眺める側」から「自分で読む側」へ移るための地図。
論文の周辺に、必ず偏りがある。
完璧な論文は存在しない。どこに偏りが潜むかを知っているかどうかが、読み手の腕。代表的な6種類だけ覚えておけば、9割の論文は判定できる。


必ず偏りがある。
原典は、
クリックで届く距離にある。
PubMed を起点に、3段で深掘る。
BAC が引用するすべての論文は、最終的に PubMed の PMID と DOI で確認できるようにしている。目当ての論文に辿り着くまでの基本動線。

論文を読む時、Methods の記述量だけを見ても「何が書かれるべきか」が分からなければ 欠落に気づけない。国際的な報告ガイドラインを知っておくと、 「この論文は書くべきことを書いているか」が見えてくる。
1980年代から90年代にかけて、多くの観察研究が「HRTを受けた閉経後女性は心血管疾患が少ない」 と報告していた。
それは本当だった。ただし因果関係は逆だった。
HRTを選ぶ女性は、1990年代の米国では富裕で教育水準が高く、 かかりつけ医に定期的にかかれる立場にあった。 食事・運動習慣も良好で、もともと心血管リスクが低い集団だった。 「HRTを受けた」という変数は、「健康意識が高い生活スタイル全体」と ほぼ不可分に絡み合っていた。
これが "Confounding by Indication"(適応による交絡)だ。 ある治療を「受けようとする」集団と「受けない」集団は、 そもそもリスクプロファイルが違う。 観察研究でこの交絡を完全に除くことは、設計上不可能に近い。
2002年のWHI RCT(前述)が示したのは、 無作為に割り付けたとき初めて「HRTの効果」だけを取り出せるという事実だった。 そしてその結果は観察研究と真逆だった。
Prasad & Cifu はこのパターンを "a surrogate for health-seeking behavior" と表現した。 観察研究で「良い結果」が出ている治療を見る時、 「受けた人がもともと健康なのではないか」と問うのは常に正当な疑問になる。
メタ解析を読む時に必ず出てくる2つの図。 図を見慣れておくと、結論セクションを読む前に「この研究は信頼できるか」 のあたりがつくようになる。
個々の研究の効果量と信頼区間を横棒で表す。 下にまとめた菱形がメタ解析の統合推定値。 全研究が「null(1.0または0.0)」の線より一方向に揃っていれば効果が一致している。

横軸に効果量、縦軸に精度(サンプルサイズの代理)を取る逆三角形の散布図。 出版バイアスがなければ左右対称になるはずだ。 三角形の片側が空いていれば、否定的結果の論文が未発表の可能性がある。

Forest plot の菱形(統合推定値)が null 線から離れているほど「効果あり」の見た目になる。 ただし Funnel plot が非対称なら、その菱形は出版バイアスに膨らんでいる可能性がある。 2つをセットで見る習慣が、メタ解析を正しく読む第一歩だ。
こんな視点が手に入る。
